斐文曾報(2003.5.1)




女子大発ベンチャーを設立して

大42人 難波 美都里

大阪女子大学SOHOサポートファンド出資適用第一号として誕生した有限会社ダブル・ワークス代表取締役、難波さんにご寄稿いただきました。
 
 有限会社ダブル・ワークスは、大学院社会人間学専攻修了生四人によって、2001年11月13日に設立された。
全国でも珍しい女子大発ベンチャーの誕生とあって、新聞等でも何度か紹介された。卒業生の企業支援を目的に教職員有志によって設置されたファンドは、全国的に見ても非常にユニークで、斐文会からも毎年寄付がなされていると伺っている。ダブル・ワークスは、こうした皆様の支援を無駄にしないよう頑張っている。
 業務内容は、大学・学会業務委託を主フィールドに、南大阪地域大学コンソーシアム、大阪公立大学共同出版会の各事務局の運営業務受託をはじめ、各種調査研究、ホームページの作成、デザイン等である。とはいえ、大学の何でも屋、「困ったときのダブル・ワークス」としてその名を広めている。昨年七月には第一期決算を終えファンド申請売上目標を無事達成できた。今期も昨年以上の売上予想である。駆け出しの私たちがここまでやってこられたのも、ひとえに小股副学長をはじめ、仕事上で知り合うことのできた先生方の口コミで広がったことが大きく、とても感謝している。
 ここまでくるには、いろいろな経験があった。もともと、起業などとは無縁だった私たち四人にとって、当初会社を立ち上げ、仕事をこなすことだけで精一杯だった。しかし、仕事をこなしていくうちに、「仕事」と「事業」の違いが分かってきた。
 仕事を事業にするためには何らかの仕掛けが必要で、その一つが仕事に名前をつけ商品化することであった。その第一号が「学会君」である。
 現在、会社は第二段階に入り、業務も横に拡大しはじめている。「堺ホテル協会」とのコラボレーションもその一つだ。堺の女子大発ベンチャーとして注目度も高く、好意的に迎えられている。今後、地域とのコラボレーションの輪を広げることで、堺市の活性化に一役買いたいと思っている。
 ダブル・ワークスでは、「女性の新しい働き方の提案」を理念に掲げ、後続育成も視野に入れた「お仕事ネットワーク」を無償で展開している。会員登録した女子大の卒業生に仕事の委託を行うネットワークである。登録者は現在約二十人。これまで、働きたくても家族の事情等で家庭内にとどまらざるを得ない人、夫の転勤により仕事を辞めなければならなかった人、在校生等に新しい形で仕事を提供してきた。仕事の内容は、大学実験・研究助手、テープおこし・リライト、データ入力、翻訳、ホームページ作成、ソフト開発、受託業務事務など、在宅ワークを含め多岐にわたっている。「お仕事ネットワーク」は、ホームページ上で展開しているが、この三月にリニューアルした。是非立ち寄り、会員登録していただければと思っている(http://www.w-works.jp/oshigotonet/)。今夏には、女性の社会参画を楽しく支援するための会員参加型サイトの立ち上げを計画している。女性の視点を社会に活かすような仕組みを企画しているので、期待していて欲しい。平成十七年には大阪女子大学は他の二府大と統合することが決まったが、ダブル・ワークスでは女子大の卒業生、在校生たちの高い能力とエネルギーを、どんどん社会にアピールするために尽力していきたい。そうした場として、「お仕事ネットワーク」が活用されていることを切に願っている。