日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第34巻 第1号 要約

特集:トマト水ほう症

深山 陽子

 トマトの水ほう症は,葉にこぶ状の変形が発生し,症状が進むと葉は褐変し落葉する生理障害である.実栽培において,収穫期に入ってから急速に症状が進み,収量を著しく低下させた事例もある.水ほう症の発生メカニズムは未だ明らかとなっていないが、本稿では品種間差や対策等,最近の研究事例について紹介する.

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特集:生産現場における生理障害の実情

内野 伸一郎

 三島市にて高糖度トマト「三島の力トマト」を水耕・長段栽培にて生産している内野伸一郎が,季節ごとに問題となっている生理障害について現場における実例とともにまとめたもの.

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事例紹介:温泉熱を活用したパプリカの周年出荷体系(次世代施設園芸・大分拠点の紹介)

山田 晴夫

 大分県九重町の(株)タカヒコアグロビジネスは,全国10箇所の次世代施設園芸拠点のひとつとして,標高約700mの準高冷地帯を活かした夏秋型(4~12月収穫:1.2ha)と冬春型(11~7月収穫:1.2ha)の2作型の組合せで,細霧冷房及び天井塗布剤による遮光資材を活用した高温対策,温泉熱(熱交換方式)を活用した加温を行い,パプリカの単収20tを超えた周年出荷をベースに安定雇用,有利販売を実践しています.

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事例紹介:無洗浄で食べることができる植物工場野菜の実現に向けた紫外線殺菌装置の運用方法の検証

岡 理一郎

 食品加工業者等において無洗浄で食用可能な野菜に対する需要は高い.完全閉鎖型植物工場では適切な管理ができていればそれを実現できる可能性があり,露地野菜に対して大きな強みとなる.植物工場iCubeにおいて,上記目的のために植物工場野菜に付着する一般生菌数を一定未満にする取り組みを行っており,養液殺菌用に紫外線殺菌装置を導入した.本記事では紫外線殺菌装置を導入する際に考慮した項目や今後の展望について説明する.

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研究の紹介:イチゴ光合成の最大化を目指した葉面積センサの開発

大石 直記

イチゴの葉面積を非破壊評価するため反射型散乱光センサ(以下,本センサ)を開発した.本センサは,可視放射(VR),近赤外放射(NIR)の光センサを上部黒色アクリル板底面に設置し,個体群内に透過した反射放射のNIR/VRを計測するものである.イチゴ栽培過程においてNIR/VRと葉面積との間に極めて密接な正比例関係がみられ,NIR/VRの計測によってイチゴ葉面積の継続的な非破壊評価が可能であった.

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研究の紹介:温室内の夜間のCO2濃度変化から隙間換気回数を自動的に計算するソフトウェア

安場 健一郎

 低温期の締め切った施設においては土壌や植物の呼吸によってCO2濃度が夜間に上昇する.CO2濃度は施設内のCO2の発生量と隙間換気回数のバランスで決定され,施設内外のCO2収支式を作成し,その式の解を求めることで,施設内のCO2発生量と隙間換気回数を推定可能である.しかし,その計算が煩雑で,これらの情報を簡単に入手する方法が今までなかった.そこで,UECSに対応したCO2計測ノードが導入されている施設で自動的に隙間換気回数を測定するソフトウェアの開発を行った.

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連載:ホープが語る!未来のハイドロポニックス 農家巡回の現場から見た養液栽培の現状と課題

寺尾 洋樹

 植物が健全に生育し,収量を向上させるためには気温・日照・肥料濃度・炭酸ガス(CO2)等の条件が適切な範囲にあることが求められる.毎年のように違った異常気象が頻発することで,生育異常が例年のごとく起こっている.特に低温対策に比べて高温に対する対策が難しく,低コストでできる方法が限られている.また対処療法だけでは後手に回ってしまうため,施肥管理や施肥方法の工夫で生育状況を改善していく必要もある.

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連載:やさしく解説!植物生理学 第一回「植物がCO2や水を吸い込む仕掛け」

福田 直也

 植物が生きる仕組みを学ぶ植物生理学を連載記事として解説する.第一回は,植物が浸透や拡散といった物理現象により,水やCO2を吸収する仕組みを解説する.

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