日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第31巻 第2号 要約

特集:日本の養液栽培の発祥の地を訪ねて

切岩 祥和

会誌創刊号に掲載された初代会長の記事には、「日本の野菜の養液栽培は1930年前後からの春日井新一郎先生による実験的ポット水耕による基礎研究と、戦後は米軍の調布・大津礫耕施設に協力された方々の経験に基づき、山崎先生と堀先生による礫耕の実用化研究ならびに園試除法培養液の発表が養液栽培に実用化の進展に大きく貢献した」と記されている。本稿は、研究会の30周年を機に、日本の養液栽培の発祥の地で、調布水耕農場、大津水耕農場、礫耕の実証試験、水気耕栽培とトマトの木の技術開発に関してそれぞれ情報をお持ちの方々にインタビューしてまとめたものである。

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事例紹介:環境制御技術への取り組み

尾原 由章

私の住んでいる安芸市は高知県東部に位置し、温暖な気候と冬期の豊富な日射量を利用して、古くから施設園芸が盛んで、私はここでピーマンを栽培している。平成25年に農業振興センターやJAを巻き込んで、有志の農家で「土佐あき新施設園芸勉強会」を立ち上げ、環境制御技術だけでなく、農業経営面も含めて生産者同士で話し合える場所をつくった。今回、事例紹介させていただく機会を得たので、勉強会の活動や新設した高軒高ハウスでのピーマンの養液栽培事例に筆をとらせていただく。

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事例紹介:第1回「全国きゅうり養液栽培サミット」を開催 in徳島県海部
~魅力あるキュウリ経営の実現をめざして~

清水 昇

養液栽培によって魅力的なキュウリ経営の実現により「きゅうりタウン構想」を目指している徳島県海部地域が全国のキュウリ生産者や企業,大学関係者に呼びかけ,約200名が参加し,徳島県海部郡牟岐町(11月14日~15日,会場:牟岐町海の総合文化センター)で第1回「全国きゅうり養液栽培サミットを開催した. 「きゅうりタウン構想」をめざす海部地域が,国内では成功事例がないといわれているキュウリの養液栽培に挑戦した背景について紹介する.

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研究の紹介:ヒートポンプを活用した夜間短時間冷房による花き類の高温障害の軽減効果

梶原 真二

切り花における高温障害軽減のための夜間冷房の時間帯について検討した.日の入りから深夜までの4時間(EOD),あるいは深夜から日の出までの4時間(EON)だけ冷房する夜間短時間冷房は,慣行の終夜冷房と比較して消費電力はそれぞれ40%と60%少なくなるが,高温障害であるキクの開花期のずれ,バラの短茎化やカーネーションの軟弱茎発生などの品質低下を軽減する効果は同程度であった。

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研究の紹介:スイートピー養液栽培への試み

柳下 良美

冬期から春期に施設栽培されるマメ科のつる性のスイートピーは、栄養成長と生殖成長が同時に進行し、草勢が花芽分化や切り花の品質、収量に大きく影響する。連続的採花には草勢管理が重要であるが、現状、草勢の調節は、生産者の経験を基に換気、施肥等で総合的に対応しているため、急激な気象変動への対応が難しい。そこで、立地・環境に依らず統一した管理が可能で、細かいかん水・施肥管理に繋げるため養液栽培の可能性について検討した。

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新連載:ホープが語る!未来のハイドロポニックス
初年度黒字化 女性の輝く農業を「ウーマンメイク株式会社」

平山 亜美

大分県国東市で、平成28年からリーフレタスの水耕ハウス栽培を始めたウーマンメイク株式会社。確立された環境制御システムの導入と他の農業法人との連携とで、安定した周年栽培を可能とし、初年度黒字化を達成。また、全員が女性という体制で、女性目線での栽培から販売までの工夫や働きやすい環境づくりを目指している。

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新製品の紹介:レタス植替えロボット 「RII-02」

今口 正一

今まで困難であった「レタスの苗ウレタン分離し水耕パネルへの植替えをする」機械化を、スカラーロボットを使用することで実現した。
これにより今後レタス栽培が、省力化・高速化が可能になり安定した運営を目指すことができる。

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新製品の紹介:ロックウール栽培で水分管理
グロダン水分計「GROSENS®シリーズ」

和久井 賢

GROSENS®は,ロックウール培地の水分率(WC),電気伝導度(EC),および温度を計測することが出来る.瞬時値だけでなく,一定期間中の記録機能も備えている.記録値はパソコンにEXCELシートでグラフとして表示することも可能である.マルチ測定機能では,ハウス内の異なる複数の場所(ロックウール)を測定できる.生産者はGROSENS®から提供される情報で,ロックウール栽培における収穫量や収穫物の品質を向上させるための水分管理を実践することが可能となる。

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連載:養液栽培で発生する病気の基礎知識 (11)炭疽病

鈴木 幹彦

炭疽病は葉や果実に糸状菌のGlomerella 属(有性時代)あるいは Colletotrichum 属(無性時代)が原因で発生する多犯性病害である.養液栽培に限らず汚染種子や感染苗の持込により感染が拡大する。主には葉や葉柄、茎に黄~黒褐色の病斑を形成するが、イチゴでは株枯を、ナス科作物では根が褐変する黒点根腐病を起こす。防除は薬剤では予防散布中心で行い、検査法を活用しながら健全種子、苗を用いて、病原菌をほ場に持ち込まない対策を実施する。

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