日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

第61回 日本養液栽培研究会 島根大会

通信員 岡原 功(大阪府立大学)

今回、第61回目の研究会となる島根大会が、2007年11月13日から14日の2日間島根県松江市で開催されました.大会のテーマは「安全・安心な養液栽培に向けて」で、おもにGAPについての討論がおこなわれました.

まず、GAPとは、Good Agricultural Practiceの略語で「適正農業規範」と訳されます.農産物の生産の各段階で生産者が守るべき管理基準とそれを実践する取り組みのことで、目的は、農産物の安全・環境への負荷の低減・農作業における労働安全、これらを達成するため、といえるでしょう.具体的には、農業の作業工程ごとに実施すべき作業内容をあらかじめリストアップして実践し、記録を残し、さらにシーズン終了時に時期作に向けて作業内容の見直しをおこないます.

私は今回の大会に参加するまで、GAPには難しそうなイメージを持っていましたが、「当然のことを明文化すればいい」、「できることから少しずつ始めればいい」、と実際の生産者の小田達雄氏、栗田洋蔵氏の発表を聞き、少しGAPに対しての抵抗感がなくなったように思います.大会に参加された方々が同じように感じて、GAPを実行する生産者が増えるといいなと感じました.

3つのテーマでおこなわれた分科会は、夕食後ということもあり、ざっくばらんな意見が飛び交いました.どの会場でも、時間制限ぎりぎりまで議論が続き、分科会終了後も、各部屋での情報交換が夜遅くまでおこなわれました.

2日目は、実際にGAPに取り組んでいる「(有)だんだんファーム掛合」と「みどり工房」の現地見学をおこないました.建物あるいはハウスに入る際には、アルコール消毒や、帽子やスリッパの着用をおこない、また、内部は整理整頓が行き届き、非常に清潔な状態に保たれていました.このような場所で栽培され出荷される農産物は安心して口に入れることができると思い、一消費者として、JGAPの認証を取得している生産者が栽培した野菜を積極的に購入する気になりました.

生産者の方々が食の安心・安全について、熱心に取り組まれていることが本大会を通じてよく分かりました.また、消費者の側がGAPのような取り組みを理解し、生産者の方々がJGAPの認証取得に前向きになってくれるような行動をとっていく必要があると思いました.

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