第44回日本食品微生物学会学術集会

学術総会長挨拶

第44回日本食品微生物学会学術総会
総会長 山﨑 伸二
大阪公立大学大学院獣医学研究科

 この度、第44回日本食品微生物学会学術総会の総会長を務めさせていただく大阪公立大学大学院獣医学研究科の山﨑伸二と申します。日本食品微生物学会は1980年、当時大阪府立大学農学部獣医学科教授の阪口玄二先生が初代会長として立ち上げられた食品衛生微生物研究会が原点となっています。そして同年、第1回の学術総会が国立衛生試験所の倉田浩先生によって開催され、それから43年が経過しました。この間、我が国の食文化の変遷は著しく、食の安全に対する考え方も大きく変わってきています。また、グローバル化の波は、我が国の食の安全に対する考え方にも大きく影響を及ぼし、HACCPも令和2年に施行され、翌令和3年6月1日からは完全に義務化されました。

 日本食品微生物学会は「食品の微生物に関する学術研究の推進、並びに成果の普及を図り、食品の安全および機能の向上に寄与すること」を目的として設立されています。そのため、本学会はアカデミアを中心とした基礎研究のみならず、産業界や行政に携わる人々が参加し、社会実装を最終目的に議論・情報交換するという特徴を有しています。今年度の学術総会では、阪口基金主催特別シンポジウム、教育講演、特別セミナーおよびシンポジウムを企画しています。また、市民公開講座も会期前日に開催し、市民への食中毒に関する最新の情報を発信していく予定です。

 中百舌鳥キャンパスのある堺市は、平安時代、摂津・河内・和泉の三国の境に位置していることから「さかい」と呼ばれるようになりました。また、堺には世界遺産である百舌鳥古墳群もあります。戦国時代には対明貿易や南蛮貿易など我が国の海外拠点としても発展しました。当時、刀や鉄砲も堺で生産され、今日では包丁の生産地としても世界的に知られています。わび茶の大成者として知られる千利休の生誕地でもあります。このように堺には、さまざまな歴史的遺産もあり、学会以外にも皆様に楽しんでいただけるところが満載です。

 COVID-19も今年は5類感染症へ移行し、徐々にコロナ禍前の生活に近づくと想定されます。コロナ禍で人々の行動が制限されたため、一見減少したように見える食中毒事例も人々の行動がコロナ禍前に戻ると再び増加することが懸念されます。2025年の大阪・関西万博を控え、食の安全・安心は喫緊の課題です。大阪府立大学は2022年4月より大阪市立大学と統合し、大阪公立大学となりました。大阪公立大学における初めての日本食品微生物学会学術総会の開催となります。参加していただける皆様にとりまして有意義な学会となるよう準備委員会一同協力し準備を進めております。多数の皆様のご参加、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。